「おなかが弱い」は体質じゃない?
原因と今日からできる対策
― 野村乳業「おなかトーク」より ―
今回のおなかトークでは、
「おなかが弱いって何?」
をテーマにお話ししました。
「昔からおなかが弱いから仕方ない」
「体質だから変わらない」
そう思っている方は少なくありません。
外出先で急におなかが痛くなる。
会議やテストの前になるとトイレへ駆け込んでしまう。
牛乳やラーメンを食べると、おなかがゆるくなる。
そんな経験はありませんか。
実は、「おなかが弱い」という状態は、生まれつきの体質だけでなく、腸内環境や生活習慣が関係している可能性があります。
今回は音声でお話しした内容をもとに、おなかが弱くなる原因と、今日からできる対策をご紹介します。
「おなかが弱い」は体質だけが原因ではありません
「おなかが弱い」と聞くと、生まれつきの体質だと思われることがよくあります。
しかし、おなかの不調には、腸内環境や自律神経、食生活など、さまざまな要因が関係していると考えられています。
おなかがゆるい状態は、腸の動きが必要以上に活発になったり、体が食べ物やストレスなどの刺激に過剰に反応したりしている状態ともいえます。
本来であれば腸内をゆっくり進み、水分が吸収されるはずの便が、早く排出されてしまうことで、便がゆるくなることがあります。
おなかが弱いから仕方ない。
そう決めつけず、まずは原因を知ることが大切です。
おなかがゆるくなる3つの原因
1.腸内環境の乱れ
おなかがゆるくなる原因のひとつとして考えられるのが、腸内環境の乱れです。
腸内細菌のバランスが崩れ、自分にとって良くない状態に傾いていることを、専門的には「ディスバイオシス」と呼ぶことがあります。
腸内環境は、指紋のように一人ひとり異なります。
そのため、すべての人に共通する理想的な腸内環境があるわけではありません。
自分に合った腸内細菌のバランスが崩れることで、腸が刺激に反応しやすくなり、便がゆるくなる可能性があります。
2.ストレスや自律神経の乱れ
「会議や試験の前になると、おなかが痛くなる」
そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。
腸と脳は互いに影響し合っており、ストレスや緊張、睡眠不足などで自律神経が乱れると、腸の動きにも影響することがあります。
強いストレスを感じたときに急におなかが痛くなったり、トイレへ行きたくなったりするのは、こうした腸と脳のつながりが関係している可能性があります。
3.腸のバリア機能の低下
腸には、必要な栄養を体内に取り込み、不要なものが入り込むのを防ぐバリア機能があります。
この腸のバリア機能が低下した状態は、一般的に「リーキーガット」と呼ばれることがあります。
リーキーガットは正式な病名ではありませんが、腸の細胞同士の結びつきが弱まり、腸管の透過性が高まった状態を説明する言葉として使われています。
腸のバリア機能を保つためには、腸内細菌が食物繊維などを発酵することで生み出す、短鎖脂肪酸などの成分も重要だと考えられています。
おなかが弱くなるきっかけは人それぞれ
同じ「おなかが弱い」という悩みでも、調子を崩すきっかけは人によって異なります。
- ・牛乳やヨーグルトを食べるとおなかがゆるくなる
- ・ラーメンや脂っこい料理のあとに調子が悪くなる
- ・辛いものを食べるとおなかが痛くなる
- ・小麦を使った食品を食べると不調を感じる
- ・会議や試験の前になるとトイレへ行きたくなる
- ・体が冷えるとおなかの調子を崩しやすい
例えば、牛乳を飲んだあとにおなかがゆるくなる方は、乳製品に含まれる乳糖などが体に合っていない可能性があります。
また、小麦やオリゴ糖、特定の食物繊維などが、おなかの不調につながる方もいます。
大切なのは、「おなかが弱いから突然調子が悪くなった」と考えるのではなく、何かきっかけがなかったかを振り返ってみることです。
何を食べた日だったか。
どんな状況だったか。
少し振り返ることで、自分のおなかの特徴が見えてきます。
今日からできる3つのポイント
1.自分に合わない食べ物を知る
おなかの調子が悪かった日は、その日や前日に食べたものを振り返ってみましょう。
牛乳、小麦、脂っこい料理、辛いものなど、人によって合わない食べ物は異なります。
思い当たるものがある場合は、一度控えてみて、おなかの状態が変わるかを観察するのもひとつの方法です。
ただし、特定の食品を長期間避ける場合は、自己判断だけでなく医師や管理栄養士などの専門家に相談しましょう。
2.自分に合った方法で腸内環境を整える
おなかの土台を整えるためには、自分に合った方法で腸内環境を整えることが大切です。
乳酸菌などの良い菌を補う「補菌」と、食物繊維やオリゴ糖などで腸内細菌を育てる「育菌」を意識してみましょう。
ただし、ヨーグルトや一部の食物繊維、オリゴ糖などが合わない方もいます。
「腸活に良いといわれているから」と無理に続けるのではなく、自分のおなかの反応を確かめながら取り入れることが大切です。
3.便を観察する習慣をつける
腸内環境を知るために、もっとも身近な方法が毎日の便を観察することです。
便の形や硬さを確認する目安として、「ブリストル便形状スケール」があります。
便は7つのタイプに分けられ、一般的には、表面がなめらかなバナナ状の便が理想的な状態の目安とされています。
一口に「ゆるい便」といっても、少しやわらかい程度なのか、水のような便なのかによって状態は異なります。
毎日の便を確認しておくことで、医療機関を受診した際にも、自分の状態を説明しやすくなります。
食べたいものをすべて我慢しなくても大丈夫
自分に合わない食べ物がわかったとしても、好きなものをすべて我慢する必要はありません。
「ラーメンを食べると調子を崩しやすいけれど、どうしても食べたい」
「パンを食べると不調を感じることがあるけれど、好きだから楽しみたい」
そんなこともあると思います。
大切なのは、自分のおなかの特徴を把握したうえで選ぶことです。
次の日に予定がない日に食べる。
食べる量を調整する。
体調が良い日に楽しむ。
自分のおなかと相談しながら、無理なく付き合っていくことも大切です。
病院を受診した方がよいケース
おなかがゆるい状態が長く続く場合や、いつもと明らかに違う症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
特に、次のような症状がある場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。
- ・下痢や水のような便が長期間続いている
- ・体重が減り続けている
- ・便に血が混ざっている
- ・強い腹痛や発熱を伴っている
- ・日常生活に支障が出るほど症状が続いている
おなかの不調の背景に、病気が隠れている可能性もあります。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
まとめ
今回のおなかトークでは、「おなかが弱い」という悩みについてお話ししました。
おなかが弱くなる原因は、人それぞれ異なります。
腸内環境の乱れ。
ストレスや自律神経の乱れ。
自分の体に合わない食べ物。
さまざまな要因が重なっている可能性があります。
だからこそ、「体質だから仕方ない」と決めつけるのではなく、まずは自分のおなかを知ることが大切です。
毎日の便を観察する。
調子が悪かった日の食事を振り返る。
自分に合った方法で腸内環境を整える。
そんな小さな習慣から始めてみませんか。
音声の中でもお伝えしたように、
「おなかがゆるいのは、君のせいじゃない。」
そんな視点で、自分のおなかと向き合い、無理なくおなかを育てていただけたらと思います。